映画解説「gifted/ギフテッド」子供への愛情の注ぎ方
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gifted/ギフテッド

おすすめ度

ギフテッドとは

先天的に平均よりも顕著に高い能力(IQ=知能指数130以上)を持っている人、またはその能力を指す。発達障害と異なり、医学的な診断名ではない。

引用元:教育新聞「ギフテッドの子供たち」

7歳の女の子「メアリー」は天才的な頭脳の持ち主(ギフテッド)。

わけあって生まれて間もない頃から叔父と住んでいます。

小学校生活が始まるも、天才的な頭脳を持つために、授業はとてもつまらない・・・。

そんな中、突然現れる祖母「イブリン」。

叔父や祖母との関係など、周りの大人の思惑に振り回される「メアリー」の行く末が気になり、あっという間の鑑賞時間でした。

観終えた後は心がホッコリ温まりました。

本作品はこんな時におすすめです
  • 家族愛をテーマにした映画を観たい
  • 子役が出る映画を観たい
  • 数学に関する映画を観たい時
いずれかに当てはまっていたらおすすめです!

本記事では、作品情報やあらすじに加え、解説を交えた感想を述べていきます。

少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。

【作品情報】gifted/ギフテッド

ジャンルヒューマンドラマ
製作年・上映時間2017年・101分
監督
(代表作)
マーク・ウェブ
(500日のサマー)
(アメイジング・スパイダーマン)
主なキャスト
(カッコ内は役名)
クリス・エヴァンス(フランク)
マッケンナ・グレイス(メアリー)
リンゼイ・ダンカン(イブリン)
オクタヴィア・スペンサー(ロバータ)
ねこ(フレッド)
マッケンナ・グレイス
マッケンナ・グレイス
(C)2017 Twentieth Century Fox
マッケンナ・グレイス

本作の子役。演技に注目です!

過去の出演作「インデペンデンスデイ アサージェンス」(16)があります。

ジェームズ・ワン製作「アナベル 死霊博物館」(19)にも出演しています。

ネタバレを含む詳しいあらすじはMIHOシネマをご覧ください。

感想(ネタバレあり)gifted/ギフテッド

観終えた後、「子どもと一緒に過ごせることは幸せなことであり、しっかりと愛情を注ぐことを大切にしていきたいな。」と一番に思いました。

さらに、フランクとイブリンのメアリーに対する関わり方やメアリーの反応などから、子どもへの愛情の注ぎ方も間違えてはいけないと思いました。

以下に、子どもへの愛情の注ぎ方という視点で物語を整理していきたいと思います。

叔父vs祖母

メアリーの叔父であるフランクと祖母のイブリンは、メアリーの教育方針や環境づくりで対立します。

叔父「普通の子と同じように過ごして、同世代のいろんな子と関わってほしい。」

フランクの姉ダイアン(つまりメアリーの母親)の意志を受け継いで、フランクはメアリーを普通の子と同じ環境で過ごすことに決めています。他に類を見ない才能を持っているのは百も承知ですが、ダイアンの「普通の子と同じように過ごしてほしい」という思いを尊重し、またそれが正しいと考えています。

ですから、住んでいる場所も庶民的な生活を送るような場所に住んでいます。

祖母「才能は生かすべき。人類進歩のために全力を尽くしなさい。」

一方、祖母であるイブリンは、ギフテッドであるならば、それに見合った教育を受けさせたいと考えています。

大学に近い場所に住み、学問に打ち込める場所に住んでいます。

さらに、イブリンは娘であったダイアンにギフテッド教育を受けさせました。人類進歩のためミレニアム懸賞問題の1つである「ナビエ・ストークス方程式」を解くことだけに集中させます。

ミレニアム懸賞問題とは

アメリカのクレイ数学研究所によって2000年に発表された100万ドルの懸賞金がかけられている7つの問題のことである。そのうち1つは解決済み、6つは2020年3月末の時点で未解決である。

引用元:Wikipedia「ミレニアム懸賞問題」より
解決している問題は?

劇中でも言及されていますが「ポアンカレ予想」という問題で、2002年から2003年にかけて数学者グレゴリー・ペレルマンによって証明され、解決しました。

内容としては、超ざっくりした例え話をすると「宇宙のある点から、ロケットにロープをつけて宇宙を一周させたとする。ロープをたぐりよせて、全て回収できれば、宇宙の形はだいたい球体であるといえるのではないか。」というものらしいです。

位相幾何学という分野なので、きっと物理学につながるものでしょう。
とても専門的なので、私の説明はこれが限界です・・・。

ナビエ・ストークス方程式とは

「流体の運動」に関する方程式です。流体力学と関係しているので、飛行機や医学的な分野に応用可能です。

とても重要とされている方程式ですが、いまだ現在証明できておりません。

子供への愛情の注ぎ方

メアリーとフランク
(C)2017 Twentieth Century Fox

前項の通り、叔父フランクと祖母イブリンの考えは対立しています。

メアリーを取り巻く叔父と祖母の行動を見ることで、親として子どもにどう愛情を注いでいけばよいのか見えてきます。

スキンシップは大切

フランクはイブリンとは全然違う接し方をしています。

例えば、2人でビーチに行って共に過ごすシーン。

フランクはメアリーをひざの上に乗せています。

このシーンは、どこか大人びているメアリーも子どもの表情をしています。

知能は天才的であったとしても、まだ7歳。しっかりとスキンシップを取ってくれているフランクのことをメアリーは本当に大好きです。

子供扱いしない

イブリンはメアリーにとって最高の教育環境を与えようとします。

祖母と一緒に住めば、大学の授業を受けることができます。メアリーの知的レベルに合わせた授業を受けることができます。

そして、メアリーが欲しいと言っていたピアノもあります。

つまらない小学校生活を送る必要もなく、家での生活も何不自由なく過ごすことができる環境です。

しかし、メアリーは言います。

「でも、イブリンは好きじゃない。だって、偉そうなんだもん。」

何より大事なことは「子供が何を大切にしているか」

メアリーを里親に出すことに決まった時です。

メアリーはフランクと一緒に住みたいと考えていたため、かなりショックを受けます。

フランクと離れ離れになった挙句、さらに大切な家族であるねこのフレッドも手放すことになりました。

イブリンはメアリーに最高の教育と集中できる環境を与えます。

しかし、メアリーにとって本当に望んだものはそこにはありません。

フランクやフレッドと一緒にいることがメアリーにとっての幸せでもあります。


「子どもにこうなってほしい。」「こんなことさせたい。」と思うのは親として考えるのは当然です。

でも、子どもが本当に大切に思っているものまで奪うのはいけないことです。

イブリンのように大義名分で子どもにあれこれさせるのは考え物だなと感じました。

最後に:我思う故に我あり

フランクとメアリー
(C)2017 Twentieth Century Fox

我思う故に我あり」だ。

とフランクはメアリーに言います。

ラストシーンで、フランクの車内でメアリーが手に取る哲学者ルネ・デカルト著「方法序説」。

「我思う故に我あり」とは
「自分がなぜここにあるのか?」と考えること自体が自分が存在する証明であるということ。

なぜフランクの車内にあったのか

フランクは「メアリーの父親代わりとして、自分はふさわしいかどうか。」終始迷っています。

しかし、メアリーと離れ離れになった時にフランクは考え直します。

「我思う故に我あり」とフランクが言ったのは、メアリーに対する教育方針に迷いがあった過去の自分も受け入れつつ「メアリーの父親に代わるのは自分しかいない。」と親としての決心を固めた表れでもあります。

だから、フランクの車内に置いてあったのです。


子どもに関わる大人は数多くいますが、親は特別な存在です。

フランクと同じように、親は子どもへの教育方針や関わり方に自信がなかったり、悩みがあったりするものです。

この映画はそういった悩みや迷いも受け入れ、「そうやって子どものことを考えること自体が親としてあるべき姿だ。」と伝えていると思います。

子どもの幸せのために親として、どうあるべきか何ができるのか考えていきたいものです。

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