
ミッドナイト・イン・パリは登場する偉人を知るとより楽しめる作品

あらすじと感想(ネタバレ無し)
おすすめ度
Amazonプライムで何気なく見つけ、鑑賞した本作品。
パリのオシャレな街並みが数分間映し出されるオープニング。
主人公ギルは婚約者イネスとその両親と共にフランスに旅行します。
晩にお酒を飲んだ後、ギルはイネス達とは行動を別にしてパリを歩きます。
その中で偶然にもタイムスリップをしてしまいます。
そして、憧れていたフランスの著名人とたくさん出会います。
彼らと交流する中で、刺激を受けたり感化されたりします。
やがてギルは自分自身を改めて見つめ直します。
そして、タイムスリップして出会った女性アドリアナに一目惚れ。
さて、パリの真夜中に、彼は何を考え、街へと出かけるのでしょうか…。
- パリの街並みを舞台にした映画が観たい人
- 大人向けの恋愛ファンタジーを観たい人
- タイムスリップものが好きな人
さて、この作品は、フランスの芸術家や著名人が多く出てきます。
何度も登場してくる人物もいれば、名前だけ挙がる人物もいます。その数は20名を超えます。
私は初見の時、知らない名前がたくさん出てきて頭の中が少しパニックになりました。
話の内容もあまり入ってこなくなり、ついていけませんでした。

そこで本記事の後半では、登場する偉人たちについて紹介します。
鑑賞前に読むことで、物語がより楽しめると思います。ネタバレはしません。
観賞後であれば、出てきていた人物のおさらいになります。
お役に立てましたら嬉しいです。
目次
作品情報
ジャンル | 大人向けファンタジー・ロマンス |
製作年・上映時間 | 2011年・100分 |
監督・脚本 | ウディ・アレン |
主なキャスト (カッコ内は役名) | オーウェン・ウィルソン(ギル・ペンダー) イネス(レイチェル・マクアダムス) アドリアナ(マリオン・コティヤール) |

画像出典元:映画.com「ウディ・アレン」
ウディ・アレン監督はアカデミー監督賞脚本賞を受賞したこともあります。
本作で3度目のアカデミー脚本賞を受賞しました。
自身も俳優をしていたそうです。クリント・イーストウッドみたいですね。

(画像出典元:映画.com「ミッドナイト・イン・パリ」フォトギャラリー)
レイチェル・マクアダムスは本作にも出演しています。
「きみに読む物語」や「アバウト・タイム ~愛おしい時間について~
」が私はお気に入りの作品です。
彼女の笑顔は素敵すぎます。

(画像出典元:映画.com「ミッドナイト・イン・パリ」フォトギャラリー)
マリオン・コティヤールも美しいです。
クリストファー・ノーラン監督「インセプション」「ダークナイト ライジング
」にも出演しています。
私は上記の作品から知ったのですが、調べてみると「TAXi」シリーズ(1998)から彼女の主なキャリアが始まっていることが分かりました。
登場する偉人たちを解説
本作で登場する偉人は20名を超えます。
ほとんどの人物が活躍した年代は1920年代です。ギルが憧れている年代だからです。
実際に登場してギルと関わる人物もいれば、セリフの中で名前が出てくるだけの人物もいます。
ここでは、重要度が高い順に人物について紹介します。
重要度は、主人公と関わる機会の多さや物語に影響を与える度合いで決めています。
重要度:高
劇中でよく登場し、主人公とも関わるのが以下の4人です。この4人を知っているだけでも、話が理解しやすくなることは間違いありません。
フィッツジェラルド夫妻
夫スコット/妻ゼルダ
夫スコット/妻ゼルダ

(画像出典元:Wikipedia「ゼルダ・セイヤー」)
夫婦で小説家です。代表作は「グレート・ギャツビー」です。
アメリカの小説家ですが、執筆活動のためにパリに住んでいました。
そこでヘミングウェイと出会います。
ちなみに、二人とも「アルコールが燃料」と周りに言われるほど、酒におぼれていたそうです。
画像出典元・参考記事:Wikipedia「ゼルダ・セイヤー」
アーネスト・ヘミングウェイ

画像出典元:Wikipedia「アーネスト・ヘミングウェイ」
アメリカの小説家です。
ジャーナリストとしても活動し、その中でパリにも行っていました。
そこでガートルード・スタインに出会って小説を書き始めます。
そこで完成させたのが、初めての長編小説でもある「日はまた昇る」です。
劇中で主人公との会話に出てくるのはこの小説のことです。ガートルード・スタイン

画像出典元:Wikipedia「ガートルード・スタイン」
アメリカの著作家、詩人です。
パリに移住後はサロンを開きました。
そこの壁中には前衛美術で覆われ、当時の芸術家たちを惹きつけたそうです。
ヘミングウェイもその一人です。
重要度:中
続いては、物語に深くは関係していないですが知っておくとよい人物を7名紹介します。
劇中で登場する人物もいれば、名前だけ登場する人物もいます。
コール・ポーター

画像出典元:Wikipedia「コール・ポーター」
アメリカの作曲家です。
パリに移住した後、妻となるリンダと会い結婚します。
「Let’s Do It (Let’s Fall in Love)」は劇中でも流れる曲です。
参考記事:Wikipedia「コール・ポーター」
パブロ・ピカソ

画像出典元:Wikipedia「パブロ・ピカソ」
スペインで生まれましたが、20才頃からフランスに移りました。
私生活は主に女性関係でもめていました。いろいろな逸話があります。
恋多き画家と言われています。
参考記事:Wikipedia「パブロ・ピカソ」
クロード・モネ
フランスの画家です。
劇中では生涯最後に作成した「睡蓮」が登場してきます。
連作(複数のキャンパスにつながりをもたせる)という技法を編み出したモネの集大成です。
巨大なキャンパス4枚に描かれています。
家に日本庭園を造るほど日本文化・芸術に感化された一人です。
サルバドール・ダリ
マン・レイ
マン・レイ

マン・レイ(右)
画像出典元:Wikipedia「マン・レイ」
彼らは「シュルレアリスト」です。
20世紀の芸術界を代表する思想の一つ「超現実主義」を実践する人のことをいいます。
イメージしやすい芸術家はダリやピカソ。
描いている対象は分かるけど、現実的な描写になっていない絵画がそれに当たります。
サバドール・ダリはスペインの画家です。
天才を自称しており、数々の奇行や逸話があります。
劇中では、動物のサイに執着しています。
マン・レイは、アメリカの写真家です。
1921年にパリへ移住しました。
ピカソらと共にシュルレアリスム的作品を手がけていました。
参考記事: Wikipedia「マン・レイ」
ルイス・ブニュエル

画像出典元:Wikipedia「ルイス・ブニュエル」
スペイン出身の映画監督です。
1925年にパリに移住しました。
出会ったダリと友人になり、代表作「アンダルシアの犬」を撮影しました。
劇中の主人公が彼に話をしているのは「皆殺しの天使」という映画についてです。T・S・エリオット

画像出典元:Wikipedia「T・S・エリオット」
トム・スターンズ・エリオットはアメリカの詩人です。後にイギリスに帰化します。
劇中で主人公が「プルーフロックは僕の経典です。」と言います。
プルーフロックは彼の作品である「J・アルフレッド・プルーフロックの恋歌」のことです。
私は一度読んでみましたが、主人公が経典というほど読み込むことは残念ながらできませんでした。
この詩を考察することで、主人公の人物像がよりはっきり見えてきそうです。
重要度:低
最後に、重要度の低い人物の紹介です。
名前だけ出てくる人物がほとんどです。ざっくり解説していきます。
名前 | 解説 |
---|---|
ジャン・コクトー | パリ出身の芸術家。評論家や映画監督など多岐にわたる分野で活躍していたため「芸術のデパート」と呼ばれていた。 劇中では、パーティーのホストととして名前が出てくる。 |
フアン・ベルモンテ | スペインの闘牛士。 ヘミングウェイは闘牛好きだったようで、劇中では彼と共に登場。 |
ジョセフィン・ベーカー | アフリカ系アメリカ人の女性歌手。 ピカソやヘミングウェイなどの画家にとっては美の女神とされていた。 |
ジョアン・ミロ | スペインの画家であり、シュルレアリスト。 ヘミングウェイと交流があった。 |
デルフィーヌ | デルフィーヌ・セイリグ フランスの女優 |
ジューナ・バーンズ | アメリカの著作家。1921年~1930年パリで生活。 作家や芸術家にインタビューした記事を書くことでパリで有名になった。 |
アーチボルト・マクリーシュ | アメリカの詩人 |
アンリ・マティス | フランスの画家。フォービスムのリーダー的存在。 フォービスムとは、感覚を重視した色彩で表現すること。 目に映る色彩ではなく、心に感じる色彩を描く。 |
トゥールーズ=ロートレック | フランスの画家。 華やかなポスターなどを描いた。 |
エドガー・ドガ | フランスの印象派の画家、彫刻家。 |
ポール・ゴーギャン | フランスのポスト印象派の画家。 ゴッホと約2か月間共同生活をしていた。 |
まとめ:パリを歩きたくなる映画
人物を調べてまとめることで、登場してくる著名人たちはアメリカ人が多いことが分かりました。
この記事を作成するにあたって、中学校の美術で「エコール・ド・パリ」といった言葉を習った記憶がふと甦ってきました。
1920年代のパリで、さまざまな画風の芸術家が集まった時代の潮流を指す言葉です。芸術に関する教養や感性を磨くならやはり現地に行くのが一番ですもんね。
本作を観ることで、パリに興味を持つこともできました。
登場する偉人について知っておくことで、きっと物語がより理解しやすくなると思います。
本作は、パリを舞台としているだけあって、芸術にあふれた映画です。
芸術に教養があるほど、映像の中にある小ネタにも気づいて楽しめる作品だと思います。