
学習塾は本当にたくさんあります。
都市部近郊にお住まいであれば、近隣の学習塾を挙げても本当に多数あると思います。
オンライン学習塾や通信教材なんかも合わせると、迷うほどありますね。
塾に行かせる目的の1つに「読解力を上げたい」という思いがあるならば、塾で使用される国語テキストにも注目していただきたいと思います。
- 幼児~小学生の子育てをされている方
- 読解力を上げたいと考えている方
- そのために塾に通わせることを検討されている方
- 現在、塾に通っているがなかなか国語(読解問題)の点数が上がらない方
本記事を読むことで、読解力に対する見方が深めれば嬉しいです。
また、塾選びの1つの参考ポイントになると思います。
一方で、現在通っている塾があるのであれば、見直す機会にもなるのではないでしょうか。
目次
読解力とは
ある文章を読み、自分にとって大切だなと思う情報を抜き出し、自分の知識や経験と結びつけてまとめたり、話し合ったりする活動全般を指す。
引用元:オリーブオイルをひとまわし「PISA型読解力って知っている?」より
PISAにおいては、テキストから情報を読み取るだけでなく、テキストに基づいて自分の意見を論じる能力が求められます。また、文章読解力のみならず、図・グラフ・表などを読解する力が求められることも特徴です。
引用元:STUDY HACKER「読解力とは?」
上記の引用はPISA型読解力という文脈で説明されていますが、社会に出て求められている「読解力」と言って良いと思います。
私はこれらのことから「読解力」を以下のようにまとめました。
- 文章や資料を読んで理解する力
- 文章や資料から重要だと思う情報を取り出す力
- 文章や資料から読み取ったことを自分の知識や経験と結びつける力
- 結びつけたことを書いたり話したり表現する力
読解力が必要な理由

情報があふれている現代において、文章や資料を読むことは日常的にあることです。
自分の力を伸ばしたいと考えた時も、まず初めにすることは本やサイトを読むことではないでしょうか。
読解力がないと、情報を十分に得ることもままなりません。
また、学生にとっても読解力は大切な力であると言えます。
日々の授業に加え、テストや試験などにおいても、使用されるのは文章やグラフや図などの資料です。
文章や資料を正しく理解する力はどの教科においても重要なことであり、一方で読解力がなければ学習する内容は身につきづらいです。 読解力はどの年齢になっても大切な力といえます。長文の読解問題だけでは読解力はつかない

さて、ここでは話の焦点を絞りまして、読解力と塾での国語テキストについて述べます。
塾の国語テキストによくあるのが、長文読解問題を集めたものです。
ある文章の一部を掲載し、それを読んだ後に問題に答える形式です。
小学校の単元テストを思い浮かべてもらえればイメージしやすいと思います。
認知工学の水島醉先生は、以下のように長文読解問題について自動車操作で例えて説明しています。
長文切り抜き問題は、自動車の運転の仕方を知らない者に、いきなり路上に出て運転させるようなものです。
だから、長文切り抜き問題を解いたとしても、点数を取るテクニックは身につけたとしても読解力が上がることはありません。
参考文献:国語力のある子どもに育てる3つのルールと3つの方法( 著者 水島醉)より
塾のテキストが長文読解問題を中心に構成されていて、さらに授業の展開が問題を解いてその解説の繰り返しでは本当の読解力はつかないと考えられます。
長文読解問題は読み取る力を判断するために使用されるものであって、読解力をつけるものではないです。塾で使用される国語テキストの構成はどうなっていますか?
テキストの構成は、長文読解問題だけになっていないかどうか気をつけて見ていく必要があります。
文章を読み取る力がつけられるように、文の構成を読み取る練習や段落の関係を考える練習や、筆者が述べている考えと事実とを分けて考える練習など、ある程度ステップアップしていけるような構成になっているものが良いと思います。
長文読解問題はテキストとしてまとめやすいという利点がありますが、それは塾側の立場です。
また、テキストを使うことで、○点アップしたという実績を挙げている塾もあると思いますが、それはテストを解くテクニックが上がったといえるのではないでしょうか。
本当の読解力をつけたいのであれば、塾のテキストに注目して一考することが必要だと思います。
読解力を育てる方法2つ

読解力を上げることは1日2日といった即効性のある方法はないと思います。
本当の読解力というのは、1年2年など長い期間かけて醸成されるのだと思います。
認知工学の水島醉先生のご著書「国語力のある子どもに育てる3つのルールと3つの方法」から私なりにハードルが低く取り組みやすいものを選びました。まとめたものを以下に紹介します。
- 読書好きにする
- 文章の要約をする
読書好きにする
読書が好きになれば読解力もついてきます。一方で、読解力があるから読書が好きになるともいえるかもしれませんが・・・。
読書をすれば、すぐれた言葉に出会います。言葉によって気持ちを動かされることもあります。その経験が豊かな読解力へとつながっていきます。
- 親も一緒に読書する時間をつくる
- 読み聞かせをする
- 映画を観る
- 教科書の音読をする
- 名作全集をそろえる
読書好きにするためには主に上記の5つが取り組みやすいと思います。
特に私のおすすめは映画を観るということ。(私が映画好きということもありますが。)
映画を観ることは、文字を読むことから外れそうですが、登場人物の言葉や表情、情景から心を揺さぶられます。
言葉の感性を磨くという点では、映画鑑賞は取り組みやすいものだと思います。
教科書の音読は、小学校であれば宿題で出されることが多いと思います。
日ごろは、忙しさのあまりただサインするだけになっていないでしょうか。
私はそうなりがちです。
でも音読も読解力をきたえる機会となります。
子どもの音読を聞いていると、文節の切れ目がおかしくなることがよくあります。
例えば「おじいさんは山へ芝刈りに行った。」という文が「おじいさん はやま へしば かり にいった」という切り方で読んだりします。
それは文章の意味を理解できないまま音読しているからです。
そういった文節の切れ目が正しくない時や読み間違いをしている時は、その都度教えてあげることで音読の学習効果を高められるそうです。
文章を要約する
文章を要約する力は小学校高学年から高めることができるそうです。
たしかに現在の国語科の教科書を見てみると、4年生で要約を習います。
要約する題材は説明的文章がおすすめです。
なぜなら、形式段落があるので、一つ一つの段落を読み進めて、不必要な言葉を省いていくことが簡単だからです。
文章全体をまとめて要約するより、段落ごとに要約していくことが大切です。そうすることで段落の関係が見えてくるからです。
事実と筆者の考えの区別も見分けることもできるようになってくるでしょう。
要約を書くことが難しければ、大切なところに線を引くだけでもいいと思います。
このようにして、文章の要約に取り組むことで、読解力をつけていくことができます。
子ども向けの新聞や雑誌を使えば、題材となる文章を見つけやすいと思います。塾のテキストでもそのような練習ができるかどうか見てみるのもいいですね。
まとめ:塾に行っているで安心しない

2019年12月に発表された国際学習到達度調査(PISA)の結果から、日本の「読解力」の順位が前回の8位から15位に下がったことが分かりました。
参考記事:東洋経済ONLINE「PISA型読解力低下は子どもたちからのSOS」
「塾に行かしているから大丈夫」とか「塾に行かせよう」という思いだけでは、本当の読解力はつかないと思います。
読解力をつけるためには、言葉を知らないといけません。
子どもだちを取り巻く環境は年々変化しています。
より豊かに言葉と出会えるように、子どもの環境を整えてあげることが大切なのだと思います。